合同会社えにしす

ー建築のデザインで暮らしを豊かにするための基本ガイドー

 

建築のデザインとは何か

建築のデザインとは、建物の見た目を整えるだけでなく、暮らしや仕事のしやすさ、安全性、周囲の景観との調和などを総合的に考えることです。住まいであれば、家族構成やライフスタイル、将来の変化まで見据えて空間を計画していくことが大切になります。まずは、建築のデザインがどのような視点で考えられているのか、全体像をつかんでおきましょう。
建物は一度建てると簡単には変えられないため、最初の段階でしっかりとした建築のデザインを検討しておくことが、暮らしの満足度を大きく左右します。

 

機能性と快適さをつくる空間計画

建築のデザインを考えるとき、まず重視されるのが機能性と快適さです。玄関からリビング、キッチン、水まわり、個室へと人がどのように動くのかをイメージし、無駄な動線が出ないように計画します。また、収納の位置や量、採光や風通しも空間の使いやすさを左右する大切な要素です。日常の家事動線や家族の生活パターンを丁寧にヒアリングし、それを間取りに落とし込むことで、暮らしやすい建築のデザインが生まれていきます。

 

構造と安全性を踏まえた美しさ

見た目だけを重視したデザインは、一見おしゃれに見えても、耐震性や耐久性、メンテナンス性に問題が出ることがあります。建築のデザインでは、構造や素材の性能を理解したうえで、外観や内装の意匠を考えることが重要です。地震の多い日本では、耐震等級や壁量バランスなどの専門的な検討を行いながら、窓の大きさや配置、屋根の形状、外壁の仕上げなどを決めていきます。安全性をきちんと押さえたうえでこそ、安心して暮らせる美しい建物が実現します。

 

建築のデザインで押さえたい基本ポイント

ここからは、実際に住まいの計画やリフォームを検討している方に向けて、建築のデザインで意識しておきたい基本のポイントを整理していきます。難しい専門用語を覚える必要はありませんが、考え方の軸を知っておくことで、設計者との打ち合わせがスムーズになり、後悔の少ない家づくりにつながります。

 

光と風の取り入れ方

快適な建築のデザインをつくるうえで、自然光と風の取り入れ方は非常に重要です。南向きに大きな窓を取れば明るくなりますが、夏場は暑くなりすぎる場合もあります。そのため、庇やバルコニーで直射日光を和らげたり、すだれや外付けブラインドで調整したりといった工夫が求められます。また、風の通り道を意識して窓を配置することで、エアコンに頼りすぎない心地よい室内環境をつくることができます。

 

素材選びとメンテナンス

建築のデザインでは、床・壁・天井・外壁・屋根など、さまざまな部分で素材選びが発生します。無垢フローリングは質感がよく経年変化も楽しめますが、キズや水に弱い面があります。一方で、フロアタイルや複合フローリングはお手入れがしやすく、コストも抑えやすい傾向があります。外壁材も、サイディング、モルタル、タイルなどによって、見た目だけでなく耐久性や将来のメンテナンスコストが変わってきます。長く暮らす視点で、ランニングコストまで含めた建築のデザインを検討することが大切です。

 

住宅における建築のデザイン事例

次に、住宅の建築のデザインでよく見られる考え方やスタイルを紹介します。具体的なイメージを持ちながら読み進めることで、ご自身の好みや優先したいポイントが見えてきます。ここでは代表的な三つの方向性を取り上げますが、実際にはこれらを組み合わせた中間的なデザインも多く存在します。

 

シンプルモダンのデザイン

シンプルモダンは、無駄な装飾を省き、すっきりとしたラインと落ち着いた色合いでまとめる建築のデザインです。白やグレー、木目などを基調にすることで、流行に左右されず長く飽きにくい住まいになります。室内はオープンなLDKや大きな窓を取り入れ、光が広がる開放的な空間に仕上げるケースが多いのも特徴です。家具や照明もシンプルなものを選ぶと、全体に統一感が生まれます。

 

和の要素を取り入れたデザイン

畳コーナーや障子風の建具、木や和紙の質感を活かした建築のデザインは、落ち着きのある空間づくりに向いています。例えば、リビングの一角に小上がりの畳スペースを設けたり、玄関や廊下に間接照明を組み合わせたりすることで、現代的な住まいの中にさりげなく和の雰囲気を取り込むことができます。外国の方を招く機会が多いご家庭では、日本らしさを感じられる空間として喜ばれることも多いスタイルです。

 

家族の暮らし方に合わせたオリジナルデザイン

既存のスタイルにこだわらず、家族の暮らし方を起点に建築のデザインを考える方法もあります。例えば、在宅勤務が多い場合は、リビングから少し離れた場所にワークスペースを設けたり、家事を効率よくこなしたい場合は、キッチンとランドリールーム、ファミリークローゼットを近くにまとめたりする工夫が考えられます。趣味のスペースやペットの居場所なども含めて設計者に相談することで、暮らしに寄り添った住まいづくりが進めやすくなります。

 

建築のデザインを依頼するときのポイント

最後に、これから建物を建てたりリフォームしたりするときに、建築のデザインをプロに依頼する際のポイントをお伝えします。事前に準備しておくべきことや、打ち合わせで確認しておきたい内容を知っておくと、安心して計画を進めることができます。

 

要望や優先順位を書き出しておく

まずは、ご自身やご家族がどのような暮らしをしたいのかを整理することが大切です。「広いリビングでくつろぎたい」「洗濯物を室内で干せるスペースがほしい」「将来は一階だけで生活できるようにしたい」など、思いつくことを遠慮なく書き出してみましょう。そのうえで、特に譲れないポイントと妥協できるポイントに分けておくと、建築のデザインを提案してもらう際の判断基準になります。

 

実例や写真を見ながらイメージを共有する

言葉だけでイメージを伝えるのは意外と難しいものです。気に入った住宅事例の写真や、雑誌の切り抜き、インターネットで見つけた画像などを担当者と共有することで、好みの雰囲気が伝わりやすくなります。同じ「シンプル」といっても、人によって受け取り方はさまざまです。できるだけ多くの情報を見せながら、お互いのイメージをすり合わせていくことが、満足度の高い建築のデザインにつながります。

 

長く暮らしたときの使いやすさを確認する

新築時や引っ越し直後は問題なくても、子どもの成長や家族構成の変化、加齢による体力の変化などによって、使い勝手の良し悪しは変わってきます。段差を少なくしておく、将来手すりを付けられるよう下地を入れておく、可変性のある間仕切りにしておくなど、長く暮らしたときの視点で建築のデザインをチェックしておくと安心です。短期的な見た目だけでなく、10年後、20年後の暮らしを想像しながら計画を進めていきましょう。