雨に強く長持ちする建築物を建てるうえで、「水切り」が重要な役割を持ちます。新築を建てる予定の方のなかには、下記のような疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか?
・建物に絶対必要なもの?
・きちんと施工されているかどうか見るには、どこに注目すれば良いの?
そこで今回は、建築物における水切りの役割や種類、建物検査におけるチェック項目を紹介します。また業者に依頼する場合と自分でできるメンテナンス方法についても解説しますので、状況に応じた適切なメンテナンス方法を理解できるでしょう。
新築を建てる予定がある方や、建物検査を控えている方は、ぜひ最後までご覧ください。
建築物における「水切り」の役割とは?
建築物において水切りは、その名前からもイメージできるように、雨水が内部構造へ侵入するのを防ぐ役割を持ちます。L字型で外壁より出っ張るように設置されることが一般的です。
屋根や外壁・バルコニー下部、窓の下に施工され、外壁を伝って基礎部分へ雨が侵入し腐食を防いだり、外壁が雨水により汚れたりするのを防止します。
そのため設置されていない場合には雨水が容易に家内部へ侵入し、外壁に大量のコケが繁殖したり、基礎の鉄筋がさびてひび割れができてしまったりなどと、さまざまな劣化につながるため定期的なメンテナンスが必要です。
水切りの主な種類
ここでは水切りの主な種類について、屋根と外壁に設置するタイプ別に紹介します。それぞれの違いを簡単にまとめました。新築を建てる予定の方は、どのような種類を選べるのかチェックしておきましょう。
屋根に設置するタイプ
屋根に設置できるタイプは下記のとおりです。
・雨おさえ:1階の屋根と2階の外壁が重なる部分へ取り付けるタイプ
・壁止まり板金:軒先に設置できるタイプ
・ケラバ板金:三角屋根の傾斜部分の端に取り付けるタイプ
・谷板金:屋根の重なり部分に設置するタイプ
それぞれ特徴が異なるため、屋根の形状にあわせて適切なタイプを選択する必要があります。
外壁に設置するタイプ
屋根に設置できるタイプは下記のとおりです。
・土台水切り:建築物下部に設置するタイプ
・水切りあご:外壁自体を水切りにするタイプ
水切りあごは、外壁を突出させて建物自体で水を切れる設計にするタイプです。あごのみでは雨水があご下を伝わり、雨漏りの原因になってしまうため、「水切り目地」と呼ばれる溝も一緒に設置します。マンションやバルコニーの設計でよくあるタイプです。
水切り施工のチェックポイント
ここでは、施工された水切りのチェックポイントを紹介します。通常、図面や建築基準法に沿って適切に施行されているかどうかは、建物検査の業者が確認します。とはいえ施主もポイントを押さえておくことで、より安全かつ信頼できる建物を建てられるでしょう。
施工内容をチェックする際に、押さえておくべきポイントは下記3つです。
・サイズ設計のミス
・取り付け位置・厚み
・未施工・固定の有無
まず「外壁や屋根を囲むように全体に施工されているか」など、本体サイズの設計ミスがないか施工後に確認しましょう。外壁に対して長さ不足の設計ミスがあると、外壁の一部分のみ腐食を進めてしまい、剥落するリスクが高まります。
次に、取り付け位置や厚みが問題ないか確認をしてください。よくある施工ミスとしては、取り付け位置がずれて設置され、基礎の通気口を塞いでしまう事例が挙げられます。基礎への風通しが悪化してしまい、湿気が溜まり、家の腐食を進めることになるため注意が必要です。
また、未施工がないかどうかも確認しましょう。悪質な施工業者の場合には、設置自体を行わない場合も見られます。固定部分が甘くないかも、あわせて確認しておくと安心です。
以上、3つのポイントを確認することで雨水に強い頑丈な家づくりにつながります。
水切りのメンテナンス方法【劣化の放置はNG】
水切りが劣化していると、建築物内部へ雨水が侵入しやすくなり、さらに建築物の劣化が進むことになります。そのため下記の方法で、定期的に状態のチェック・メンテナンスを行うことが重要です。
・定期アフター点検を依頼する
・塗装する
ここでは、それぞれのメンテナンス方法のメリットや方法を紹介します。10年・20年先も自宅や実家に住み続けるためにも、チェックしておきましょう!
定期アフター点検を専門業者に依頼する
1つ目のメンテナンス方法は、「定期アフター点検を専門業者に依頼する」方法です。
定期アフター点検とは、建築物を建ててから半年・1年を目安に建物検査の専門業者が状況をチェックすることです。プロに劣化・腐食状況を見てもらえるため、手遅れになるリスクをなくせます。
また建物検査の専門業者のなかには、補修工事の代行も請け負っている場合があるため、迅速に補修できるメリットもあります。
外壁下部へ設置されるものに関しては比較的確認しやすいですが、屋根に設置されたものは確認するのが困難です。家全体に設置された水切りを迅速にメンテナンスするためにも、プロへ任せることをおすすめします。
塗装する
2つ目のメンテナンス方法は、「自分で塗装する」方法です。
自分で確認した際に劣化が見られる場合には、応急処置として塗装をすると良いでしょう。アルミ製やステンレス製のタイプでは塗装がはがれてしまうため効果は低いですが、スチール製や鉄製の場合には塗装によりさびの進行を防げます。
ただし塗装のみの対処では不十分なケースも多いため、建物検査の専門業者に依頼して補修工事の有無を判断してもらうことをおすすめします。
まとめ
水切りは、建築物を雨水から守るうえで重要な役割があります。そのためあらゆる建築物の外壁や屋根に設置されています。建築物内部への雨水の侵入を防ぐうえでは、定期的なメンテナンスが重要です。
自分で塗装を行う方法も挙げられますが、最もおすすめな方法は建物検査の専門業者に水切りの状況を定期的に確認してもらうことです。プロの目で腐食の有無や施工ミスを確認してもらえるため、建築物の劣化スピードを遅らせることができます。
なお、大阪府大阪市にある「合同会社えにしす」は建物検査のプロです。戸建て住宅やマンションなどの建物検査を請け負い、ウレタン検査やタイル打診検査などニーズにあわせた検査を実施します。もちろん、定期アフター点検サービスも用意しています。
「マンションの水切りをチェックしてほしい」などのご相談は、お気軽にお問い合わせください!