木造住宅の家や鉄筋コンクリート造のマンションを建築する際には、「中間検査」と呼ばれる構造のチェック工程が義務付けられています。中間検査の言葉からイメージできるように、工事の途中に必要な検査です。
新築を建てる予定がある方のなかには、下記のように疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
・絶対に受けるものなの?
・検査では何をするの?
・どこかに依頼するの?
そこで今回は、建物検査のプロである「合同会社えにしす」が構造検査(中間検査)の対象となる建築物や受けるタイミング、依頼先の機関を紹介します。
構造検査は家を建てる人に義務付けられた検査です。国の法律や自治体の条例に違反することなく、安全・安心な家づくりをするためにも最後までご覧ください。
まずは構造検査の対象建築物をチェック!
構造検査の対象になっている建物は、自治体によって異なります。例えば大阪府内の建物のうち、下記の建物が対象として挙げられています。
【中間検査の対象となる建築物及び特定工程|大阪府】
・3階以上ある共同住宅
・床面積の合計が50平方メートルを超える住宅
50平方メートルは約15坪です。2階建て住宅の多くが30坪以上になるため、大半の一軒家が検査対象に当てはまります。そのため新築を建てる際には、検査を受ける必要があります。
なお中間検査制度は、平成7年に発生した「阪神・淡路大震災」がきっかけとなり、平成10年6月の建築基準法の改正とともに導入されました。施工不備が原因とされる被害が多く見られたため、建物が完成する前に構造に問題がないかどうかをチェックする体制が求められたからです。
現在では対象となる建物は必ず実施する必要があるため、古い情報に惑わされないように注意しましょう。
なお検査が必要な建物の詳細は、「建築物の中間検査が必要な建物とは?どのような検査が必要なのか?」で詳しく解説していますのでご覧ください。
建築物の構造検査は受けるタイミングに注意
構造検査は、建築主が申請手続きを行う必要があります。もちろん、ハウスメーカーや工務店など工事監理者へ委任することも可能です。自分自身で行う場合も工事会社へ任せる場合にも、申請するタイミングには注意しましょう。
例えば大阪府枚方市で住宅を建てる場合には、下記のタイミングで検査の実施が必要です。
【建築確認の中間・完了検査について|枚方市】
・木造住宅:屋根の小屋組工事が完了したとき
・鉄筋コンクリート造の住宅:2階の床と梁の鉄筋工事が完了したとき
・鉄骨造の住宅:2階の床版の取り付け工事が完了したとき
・鉄骨鉄筋コンクリート造の住宅:2階の床版の取り付け工事が完了したとき
・上記以外の住宅:屋根工事が完了したとき
・2つ以上の構造物が組み合わさっている建物:最も早く施工する工事(ただし主要構造部の一部が木造なら、最も遅く施工する工事)
住宅の構造によって、申請するタイミングが異なるため注意しましょう。
また上記の時点から「4日以内」に申請をする必要があります。検査後の合格証を受け取れるまで、次工程の工事は着手できないため、早めに申請を済ませておきましょう。
建築物の構造チェックを依頼できる機関は2つ
構造検査を依頼できる機関は、主に下記の2つです。
・各自治体の「建築主事」
・各自治体を業務区域としている「指定確認検査機関」
まず、建築主事とは建物の検査を行える公務員のことです。建築主事に依頼するためには、各自治体のホームページから申請する必要があります。
建築主事に依頼する場合は、検査日程の都合がつきにくいデメリットがあります。そのため仕事や家事が忙しく、日程の調整が難しい場合にはおすすめしません。
一方で指定確認検査機関とは、建物の検査を実施している民間の業者です。各業者のホームページから問い合わせ・申請が必要です。
建築主事に依頼する場合と比べて、費用がかかる傾向にあります。ただし依頼者側のスケジュールに柔軟に対応してくれたり、さまざまな項目を検査してくれたりと、メリットも多くあります。
どちらにもメリットはあるため、それぞれの機関のコスト面やサポート面など総合的に比較して依頼期間を決めましょう。
建築物の構造検査で見ること
検査当日は、工事監理者など依頼者側の立会いが必要です。特に個人的に依頼する場合には、どのようなチェック項目があるかどうかを簡単に理解しておくと良いでしょう。
検査では、下記のようにさまざまな項目をチェックします。
・隣地境界線に対する建物の位置
・敷地の高低差/種類/地耐力
・間取り
・施工方法
・補強金具の位置
・木材や鉄筋、コンクリートなど主要材料の種類/規格/品質
・耐震診断/耐震補強計画立案
構造検査の主な目的は、建物の耐震補強に関して各法律と図面に適合するように施工されているかどうかをチェックすることです。第三者機関の検査員が現場へ赴き、目視でチェックを行います。
なお目視でチェックできない部分に関しては、工事監理者へ直接ヒアリングすることで、適法性が確認されます。
検査内容の詳細が知りたい方は、「ー建築物を建てるときの中間検査で行う作業と検査の流れについてー」をご覧ください。
まとめ
新築を建てる際には、完成前に構造の検査工程があります。検査では、下記のように建物の耐震性を見るためにさまざまな項目をチェックします。
・基礎の配筋
・壁の開口部の補強筋
・柱の古径の耐久性有無
・屋根ふき材の筋交いの仕様
・建物に使われる主要材料の種類/規格/品質
・施工方法
・間取り
基礎部分など直接目視できない部分に関しては、工事監理者へヒアリングされるため安心してくださいね。
また建物の検査は、専門の資格を有する公務員や一級建築士などもしくは専門機関しかできません。直接自分で依頼する際には、各自治体のホームページなどを参考にしながら業者を選びましょう。
検査は指定工事が完成してから、4日以内に専門機関へ依頼する必要があります。家を建てる人に実施が義務付けられているため、専門機関へ直接依頼する場合にはスケジュールに注意しましょう。基本的にはハウスメーカーなどの工事監理者へ委託できるため、工事監理者に相談しながら指定期日内で検査を済ませてくださいね。
なお「合同会社えにしす」は、ウレタン検査や造作取り付け下地検査、パンフレット検査などあらゆる項目の建物検査を大阪全域で請け負う建物検査の会社です。豊富な経験をもとに、さまざまな視点から建物の構造における安全性をチェックします。
なお当社では、一緒に働く検査員を募集しています。未経験からでも安心して働ける環境を整えていますので、検査員に興味がある方もお気軽にお問い合わせください!