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ー建築で使用する図面の種類や立面図を描くメリットについてー

建築の図面は、目的に応じていくつもの図を作ります。建築主は設計者に建物の希望を伝え、設計者は希望と法律とのバランスを取って設計します。

 

施工するときには、より詳細な図面を準備することにもなります。たとえば電気や水道などの電線や配管の工事をするときには、その位置も記さなければなりません。

 

この記事では、建築の図面にはどのような種類やメリットがあるのか、とりわけ立面図について詳しく紹介します。

 

建築と図面について

建築を始めるときには、まず建築主がどのようなものを建築したいのか、イメージを設計者に伝えます。設計者は建築主の希望に合わせて、建物についていくつもの角度から分析して、図面を描いていきます。

 

建築業者のスタッフはこうした図面を元に建築を行います。建築で使用する図面の目的は、建築主と設計者、スタッフの間でどのような建物にするかのイメージを共有し、相互のコミュニケーションを図りやすくすることです。

 

建築の図面にはどのような種類があるか

平面図は建物の各フロアを上から平面的に見た図面です。各部のサイズが書き込まれていて、間取りや部屋の使用方法、面積、高さ、壁のつくり、設備や家具などが記されています。フロアごとに、各々の平面図が必要になるため、建築作業をするなかで重要な図面で、ほかの図面と併用されます。

 

平面図の縮尺は実際の50分の1で描かれるのが一般的ですが、建築業者のなかには100分の1で描く人もいます。

 

配置図は土地の形状や建物の位置を示し、道路や隣の土地との距離、土地の高低差などが描かれています。平面図や立面図と同じくらい大切な図面です。配置図には全体的なものと部分的なものがあり、全体的な配置図は周辺の土地まで示すため、縮尺が小さくなります。

 

一方で部分的な配置図は、縮尺を大きめに取るため、隣の土地の状況は書かれません。

 

展開図は、部屋の中心から北、東、南、西を示した図面です。立面図は建物の外から、横面を描いているのに対して、展開図は部屋の中から建物の横面を描いており、部屋ごとに天井の高さや、窓の大きさ、建具と家具の位置、設備の配置、仕上げ方法を確認できるというメリットがあります。

 

図面の見方を知らない人でも、仕上がりのイメージを理解しやすい図面といえます。

 

断面図は建物を垂直に切り分け、横から見えるように描かれています。長辺と短辺の2方向の断面図を描くのが一般的です。断面図には上下階の関係や、高さが描かれています。どの部分の断面かが理解できるように、平面図に断面線を描きます。

 

断面図以上に、より細かく描かれている矩計図を描いたときには、断面図は作成しない場合もあります。

 

建築で使用する立面図について

立面図は建物の外観を示すために描かれます。注文住宅を建築するときには、外観のデザインを重視する人が多いので、大切な図面といえます。

 

新築で建てるときには、建ててみないと外観がわからない場合もあるので、前もって立面図を確認しておくことで、建物のつくりをできる限り正確に理解できます。一般的な立面図では、東西南北から見た外観が描かれます。どの方角から見ても外観が変わらない建物はないので、複数の角度から見た図面が必要になります。

 

立面図を見れば、部屋の北側に窓を取り付けてオープンなスペースを演出すると冬に北風が入り込み部屋の温度が下がる、南側に窓やバルコニーなどを取り付けると日当たりが良いスペースを確保できるなどということがわかります。

 

特に土地の形状や、重視するデザインによって、建物の見た目が通常と違うときには、立面図で確認することが重要です。

 

さらに、立面図があれば全体的なバランスや、屋根の勾配、軒の状況などもチェックできます。デザイン面だけではなく、実際に使用するときのバランスも考えながら確認できるのです。

 

軒の状況は雨がよく降る地域では重要な要素であり、雪がよく降る地域では屋根の勾配も欠かせないポイントです。なお、立面図は建物の100分の1の大きさで描かれることが一般的です。

 

建築で立面図を準備するメリット

立面図があれば、玄関や窓、屋根などの部分ごとの組み合わせをチェックできます。

 

注文住宅ではベランダやおしゃれな玄関、オープンな窓などこだわって設計する人が多いですが、各部分は素敵でも、同じ建物の中に取り入れると、全体的なバランスが合わず、調和が取れない場合もあります。建築の専門知識がない限り、頭の中で思い描きながら各部分を決めていくのは難しいので、立面図として図面に描き起こせばチェックしやすくなります。

 

チェックするときに、ベランダの形状やカラーは外から目立ちすぎないか、オープンな窓なのでプライバシーが保てるかなどの細かい問題に気付くこともあります。窓や玄関ドアの形状が全体的なイメージと合っているかなど、全体像をイメージしながら整合性をチェックして、自分たちの思い描いた住宅になるように微調整することが大切です。

 

立面図と平面図を一緒に使用することのメリット

立面図で外観をチェックすると同時に、平面図で窓や玄関、ベランダの場所を上からの角度でチェックすることが大切です。こうした作業で玄関と道路との位置、窓やベランダと隣の家との位置を知れるので、建物の見た目や周囲に与える影響を考慮できます。

 

オープンでおしゃれなベランダでも、隣の家の真向かいに設置すると、いつも外に出てお茶をするわけにはいかなくなります。平面図で周りの状況も理解してから、立面図でデザインやバランスを考えると良いでしょう。

 

平面図と立面図をあわせて使用すると、より具体的に建物のつくりを把握できます。

 

まとめ

建築の図面は、住宅のデザインをチェックするだけではなく、建築主が設計者に伝えたイメージを、建築スタッフに正確に伝達するうえで重要な働きをします。

 

建築主が理解していないまま作業を進めてしまうと、あとからトラブルが発生するかもしれません。建築会社や設計事務所で働くスタッフは、建築で使用する図面のタイプやメリットについて理解を深め丁寧に描き、何度も確認することが大切です。