建築の施工管理は、建物の品質や価格、安全などを管理する、建設現場にはなくてはならない仕事です。
しかし、建築の品質管理は、具体的に何を管理してどのような作業をするのか知らない人も多いかもしれません。
この記事では、将来的に品質管理の仕事をしてみたい人のために、品質管理の作業内容と、求められる能力について紹介します。
建築の品質管理とはどのようなものか
建築の品質管理は、品質に問題はないか、改良するところはないかなど、工事の品質をチェックします。また設計図や仕様書を確認して、書かれた通りの品質が保たれているかも確認して、決められた品質テストも行います。
建築の施工管理には、品質管理と安全管理が含まれています。品質管理は、品質を満たしているかどうかのチェックをするため、建設現場の写真を撮って施工記録を作成していきます。
一方で建築の安全管理とは、建設現場において事故が起きないように、安全に作業ができる環境を整えることが仕事です。
具体的には、手すりや消火設備を取り付けたり、安全点検を頻繁に行ったりするなど安全管理の作業になります。
建築で品質管理をする理由
建築における品質管理は、品質の問題や改善すべき点を早めに見つけるための、品質を確認する業務です。
建築で品質管理を行う理由は、建物のデザインや強度、大きさ、材質の品質が、設計書や自治体が決めた条件に合っているかチェックすることにあります。
品質の評価をするポイントが分類化されているので、品質テストを通して作業ごとにチェックします。
この品質とは、主に建物の強さや密度を表し、長い期間にわたって高い品質を保てるように、施工管理を行う人は、品質を維持しなければなりません。
建築の品質管理は、そのほかの施工管理に含まれる工程管理や出来高管理と共に行われます。こうして工事の品質や安定した工程をキープできるようになります。
定められた工期までに、建築を終わらせるためには、作業の日程を変更して、無駄が出ないように調整しなければなりません。
工事の計画を管理するのが工程管理であり、それを細く行うためには品質管理の仕事も重要です。
建築の品質管理を行うメリットについて
利用者の望んだ通りに、あるいは希望した以上の納品ができれば、品質管理だけではなく、建設会社の評価も高まります。
一方で手抜き工事や品質が悪いことが発覚すると、建設会社の評価が下がってしまいます。最悪のケースでは、仕事が減って会社を廃業することにもなりかねません。
施工管理で行う品質管理の作業は、会社の評判に影響を与えるので重要です。特に地震が多い日本において必要不可欠なのが高い耐震性です。
外観や使いやすさと同じくらいに高い水準を求められるので、耐震性とデザイン性、機能性を兼ね備えた建設ができれば、会社の信用が高まり多くの人が利用するようになるでしょう。
品質管理で行う具体的な作業
利用者が望んだ品質に合った建物を建てるため、安全と費用を考えて工事の計画を立てるのが、品質管理の作業です。
もし以前に事故などがあったケースでは、そのときのレポートを参考にして、再発防止のための対策を練り、二度と同じミスが起きないようにしなければなりません。
過去のデータをもとに、事故の再発防止をしながら安全第一で作業を進めていきます。
品質管理を行う人は、スタッフが手抜き作業をしていないか、スタッフに無理な仕事をさせてないかなどを頻繁にチェックしていき、万が一何らかの問題が見つかったときには、早めに改善しなければなりません。
もし問題が解決しないときは、再施工を検討する必要があります。
品質管理を行う人は、建設作業中は頻繁に現場をチェックして、工事が終わったあとにも改善点や反省すべき点がないかを確認していきます。
特に問題が見つからなければ、レポートを作成して将来の建設作業に生かします。もし問題が見つかったときには、徹底的に原因を見つけ出し、最も適切な方法で処理します。
問題が解決してからはレポートを作って、次回の作業からはその反省点を生かして、より高品質の計画が行われるようにします。
もし建物に問題があるのに、気がつかずに利用者に引き渡してしまったときには、会社のイメージや信頼を損なうことになるので、品質管理を行う人が直接顧客と向き合わなければなりません。
場合によってはクレーム対応を行うこともあります。そのため品質管理を行う人の仕事は責任が大きく、緊張感をもって仕事をしなければなりません。
ときには神経を減らすことになりますが、責任が重いので品質の高い建物が完成したときの喜びも大きくなります。
建築の品質管理を行う人に求められる能力
建設現場で品質管理を行う人に求められる能力は以下のとおりです。
危険を回避する能力が必要
建設現場では、突然トラブルが起こることが多くあります。そのため、品質管理を行う人は、トラブルが起きたときでも、冷静かつ柔軟に対応しなければなりません。
また、トラブルを未然に防ぐための洞察力も必要です。細かいことをすぐに見極めて、対処できる人でなければなりません。
コミュニケーション能力は重要
建設現場では、さまざまな作業スタッフとコミュニケーションを取りながら、工事を進めていかなくてはなりません。
ときには自分の会社の同僚だけではなく、外注先のスタッフや取引先の社員とも顔を合わせるので、リーダーシップを取り、交渉する能力も必要です。
写真撮影や図面を読み取る能力も大切
品質管理の作業では、大量の写真を撮影しなければなりません。そのため、品質管理を行う人は、デジタルカメラや一眼レフカメラなどの撮影に慣れている必要があります。
もちろん品質管理を行う人は、プロのカメラマンではないので、構図にこだわって撮影をする必要はありませんが、いつ、誰が、どのように作業したかを記録する観点から、5W1Hの情報を記録して、現場の様子が伝わる写真を撮らなければなりません。
また品質管理を行う人は、設計図や仕様書の指示に従って工程を進めていく必要があります。そのため、正確に図面を読み取る能力が求められます。