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建築作業をするときの造作工事ではどのようなことを行うのか

 

建築物を作るときの工事は、いくつもの工程に分かれています。建築物の基礎を作るのが、造作工事といえるでしょう。造作工事について理解していないと、建物の仕上がりが自分の希望と合致しないこともあるので、注意が必要です。

 

この記事では、建築の仕上げに影響する造作工事の基本や、造作工事を依頼するときに職人を選ぶポイントなどを紹介します。

 

建築の造作工事について

造作工事とは、建物の内部の下地を作る工事のことです。日本の建物の内装では、木材を使用することが多く、造作工事は木材の加工が主流です。

 

ただし、ときには石膏ボードなども使用します。造作工事では、天井や床、壁、障子や襖、階段、敷居などの内装の下地を作ります。また、状況に応じて、内装に合わせた棚やクローゼット、テーブル、いすなどの家具やインテリアを作る場合もあります。

 

建築物の内側で生活する人に直接影響するのが、造作工事で施工された場所です。希望通りの内装に仕上がるかどうかが決まる重要な部分が、造作工事にかかっているといえるでしょう。造作工事を行う大工にも違いがあります。

 

造作工事を行う大工を造作大工と呼びます。造作大工は建築で使用する建材の特性をよく知っていて、その特性を活かす材料を用います。組み立てや加工をするときには、知識と経験に基づく高いスキルが必要です。

 

また、造作工事をしている段階では、柱や梁などの表面はそのままになっています。柱や梁などを作る建て方工事は、建て方大工といわれる人が担当します。なかには、造作工事と建て方工事の両方ができる施工大工と呼ばれる人もいます。

 

造作大工はどのような作業を行うのか

建築で造作大工が行う主な作業は以下の通りです。

 

間仕切りや窓台などを取り付ける

外壁が出来上がった時点では、まだ建物の内部は柱があるだけの状況のため、壁や間仕切りなどを造作大工が作っていきます。また窓台の取り付けも造作大工が行う仕事で、内部を住み心地が良い空間に仕上げていきます。

 

造作工事が進んでいくにつれて、間取りが目で確認できるようになります。

 

石膏ボードの設置や野縁の設置

壁や間仕切り壁の間に断熱材を取り付けて、部屋の内側にも壁の下地となる石膏ボードを取り付けます。また、天井を張るための野縁の取り付けも、造作工事で行います。

 

野緑を設置するときには、天井に通す配線や配管の作業や断熱材を設置する作業が行われ、最後に石膏ボードを設置して下地が完成します。

 

造作工事は下地造りをする作業

石膏ボードでできた下地は、そのままでは家具を取り付けられません。そのため、作り付け家具や設備を設置できるように下地作りを行う必要があります。

 

窓や扉などの建具を付けるためには枠がなければいけません。このようなパーツを作る作業も造作工事で行います。作り付けの家具は、工場で生産された部品を現場で組み立てるケースと、造作大工がその場で作り上げるケースの2パターンがあります。

 

複雑な造りの家具は工場で作られたものが選ばれますが、簡単な作り付けの棚や下駄箱であれば、造作大工が作ることが多いです。

 

内装の仕上げを行う手前の作業をする

建築物を完成させるには、壁や天井、床などに壁紙を貼るといった仕上げ作業が必要です。さらにキッチンの設置やユニットバスの設置など、必要な設備を取り付けなければなりません。

 

これらの工事は内装作業に含まれるので、造作工事では行いません。つまり、造作工事には内装作業を行う手前の、主だった木工工事が含まれます。

 

造作工事の仕上がりが内装作業の仕上がりに影響する

内装作業の仕上がりに影響するのが、造作工事の仕上がりです。たとえば石膏ボードを設置したときに、しっかりと釘が打ちつけられていれば、壁の下地が平らになりますし、溝がなく設置されていれば継ぎ目もきれいです。

 

そのような状態では、内装作業でクロスを貼るときに、よりきれいな室内を演出できます。また、建具に応じて寸法通りに枠を取り付けることで、開け閉めしやすい扉やドアを取り付けられます。

 

新しい家具もぴったりとはまり、隙間なく家具が並ぶと、見映えが良い内装になります。

 

造作工事を頼むときに注意すること

建築作業を造作大工に頼むときには、木材の性質を理解しているかという点と、実績や経験があるかという2つのポイントを押さえておくことが大切です。

 

木材の性質を理解しているか

木材には多くの種類があり、建築においてどの部分にどの木材を使うかは、造作大工が決めます。加えて、木材は湿度によって伸縮する性質があるので、造作大工は、木材ごとの性質や特色を知っていなければなりません。

 

また、工事を行う現場によって湿度の違いが発生します。湿気によって木材が膨張したり、乾燥によって木材が縮まったりして、図面通りにはいかない状況に追い込まれる場合もあります。

 

建築工事を頼む造作大工は、その場で木材を加工して対処し、柔軟な対応ができることがポイントです。

 

実績と経験がある業者を選ぶ

こだわりのあるデザイン性の高い内装に仕上げたいときには、造作大工の実績や経験をチェックすると良いでしょう。一般的な内装に仕上げるときには、どの造作大工でもあまり差は出ません。

 

しかし、オーダーメイドの作り付け家具や独特な間取りに仕上げたいときには、緻密な作業を行わなければなりません。理想の内装に仕上げるためにも、実績と経験がある造作大工や、自分の理想に近い部屋に仕上げたことのある造作大工にお願いすると良いでしょう。

 

建築作業において造作大工は、一般的にイメージされる「大工さん」と呼ばれる住宅建築の職人に近い職種です。日本の伝統的な建築材料である木材は、種類によって特徴が違います。

 

伝統により培われてきた材料の特徴を理解して、お客さまのイメージに近づけるためには、深い知識と多くの経験が求められます。海外から見ても多くの人が、日本の職人といえば大工を連想するでしょう。

 

日本を代表する職人芸を身につけるには、努力と時間が必要ですが、仕上がったときの独特の温かみを表現できるのは造作大工の楽しみの一つです。