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防火区画が必要な建築とは?面積区画で考えた場合の壁・床の構造や防火設備を解説

 

建築物を火災から守るため、大きな建築物では防火区画が設けられています。

 

様々な防火区画がありますが、建築物の面積から考えた「面積区画」において、壁・床の構造や防火設備はどのようなものが必要なのかを解説していきます。

 

防火区画とは?4種類の防火区画とは?

防火区画は、建築基準法で「火災が早急に広範囲で燃え広がることを避けるために、準耐火や耐火構造の壁や床で区画すること」を定めたものです。

この防火区画には、4つの種類があります。

 

「面積区画」・・・面積によって防火区画を作るもの
「高層区画(水平区画)」・・・高層の構造によって防火区画を作るもの
「竪穴区画」・・・階段や吹き抜け、エレベータのシャフト、パイプシャフトのように縦方向に抜けている竪穴部分に防火区画を作るもの
「異種用途区画」・・・同じビルに用途が混在した建物、複数テナントが入っている異種用途区画によって防火区画をつくるものがあります。

 

これらの4つの防火区画を考え合わせながら、防火対策をする必要がありますが、今回は、この中の「面積区画」について見ていきます。

 

「面積区画」での区分の仕方について

建築物を「面積区画」で区分して防火について考える場合です。

面積によって「500㎡区画」「1000㎡区画」「1500㎡区画」の3つの種類に分けられますので、それぞれについて見ていきます。

 

床面積500㎡以下の「500㎡区画」の壁・床構造とは

建築基準法によって準耐火建築物が義務付けられた床面積500㎡以下の建築物では、1時間準耐火構造の壁・床構造が必要となっています。
1時間準耐火構造とは、1時間消火活動を行わなくても、崩壊しない構造のことです。

 

建物火災では1時間以内で鎮火するケースが6割を超えているために、1時間程度の耐火機能が重要視されています。

 

また、防火上主要な間仕切壁として45分準耐火構造も設置する必要があります。具体的にどのような場所に間仕切壁を設置しなければいけないのかについては、居室と避難経路を区画する壁、火気使用室とその他の部分を区画する壁などを設置するのがおすすめです。

 

火事が起きやすい場所と避難できる場所を防火のために間地切れるようにしておくことが大切です。

 

床面積1000㎡以下の「1000㎡区画」の壁・床構造とは

また、建築基準法で準耐火建築物となっている床面積1000㎡以下の建築物でも、1時間準耐火構造の壁・床構造が必要です。

 

床面積1500㎡以下の「1500㎡区画」の壁・床構造とは

床面積1500㎡以下の主要構造部を耐火構造とした建築物や準耐火建築物においても、同じように1時間準耐火構造の壁・床構造が必要となっています。

 

床面積ごとに分けられているがそれぞれに準耐火構造の壁・床構造が必要

つまり、床面積500㎡以下、床面積1000㎡以下、床面積1500㎡以下とそれぞれに建築基準法で準耐火建築物などが義務となっている建築物に関しては、防火区画を設置しなければなりません。

 

また、大規模な建物で主要構造部が耐火構造と義務付けられたような建築物でも、防火区画を設置する必要があります。それぞれに準耐火構造の壁・床構造が決められていますので、守る必要があります。

 

防火区画のための準耐火構造の壁・床構造とは

ここで、防火区画にするための準耐火構造の壁・床構造とは、実際にどのような構造のものを作る必要があるのかも参考にしてください。

 

例えば、準耐火構造の場合の外壁の場合には、厚み90cmの準耐火構造にする必要があります。

 

耐火性がある外壁としてはコンクリートがありますが、コスト面も考えてLGS(ライト・ゲージ・スティール)石膏ボードを埋め込む仕様が多くなっています。

 

そして、「面積区画」だけでなく「高層区画」「竪穴区画」でも、「スパンドレル」という防火区画に接する外壁が必要です。

「スパンドレル」とは、防火区画に接する外壁で、外気を介して炎が周りこんで入ってこないように防ぐ部分を作るものです。

 

また、床の構造も1時間準耐火構造にする必要があることを知っておく必要があるでしょう。

 

防火区画における「特定防火設備」設置とは

「面積区画」では、全ての準耐火構造や耐火構造が義務付けられた建築物において「特定耐火設備」が必要となっている点も注目しなければなりません。

 

「特定防火設備」とは、加熱面以外1時間火を出さない性能を持った防火戸やドレンチャーなどの設備のことを意味します。

 

鉄骨枠の両面に厚さ0.5mm以上の鉄板を張った防火戸や厚さ1.5mm以上の鉄製防火ドアや防火ダンパーなどを設ける必要があると言えるでしょう。

 

火事の際に、建築物の開口部などが燃えないように、火でふさがれないようにすることが重要です。

 

防火区画は建築物の規模や構造によって区画位置や仕様が決められている

建築物の防火区画について見てきましたが、防火区画は、火事の危険性を考えて建築基準法で準耐火建築物に指定されているものです。

防火区画は建築物の規模や構造によって、建築基準法で決められています。

 

大きな建築物は、「面積区画」他、「高層区画(水平区画)」「竪穴区画」「異種用途区画」などで準耐火構造の壁・床構造や特定防火設備などが決められていて、炎を遮るように工夫されています。そのため、それらの規定をしっかりと知って守る必要があるでしょう。

 

どのくらいの区画で、防火区画を設置するべきか、またどのような仕様のもの、防火基準のものを設置しなければいけないといった基準をきちんと守る必要があるでしょう。

 

建築の防火区画には他の種類もあり様々な面から考えた設置が必要

そして、防火区画については、細かな基準があり、今回詳しくご紹介しました「面積区画」以外でも「高層区画(水平区画)」「竪穴区画」「異種用途区画」などがあります。

 

様々な面から考えて防火区画を設置する必要があります。

 

細かな内容については、専門の業者と相談しながら設置していくことが大切と言えるでしょう。

そして、これらがきちんと設置されているかどうかをチェックしていくこともとても大切なことになります。