建築においては、どのような構造で建物を造るのかによって、建物の耐用年数は異なってきます。
鉄筋コンクリート造の場合は、寿命が長いと言われていますが、その理由はなぜでしょうか。
また、実際に建物の寿命がどのくらいあって、それを伸ばすにはどうしたらいいのかも気になります。
詳しく見ていきますので、参考にしてください。
建築における建物の耐用年数とは?法定耐用年数はどのくらい?
建物の耐用年数とよく言われますが、耐用年数とは法的に固定資産として使用年数が決まっているだけです。
実際には、耐用年数を過ぎても建物に長く住むことができるのが一般的です。
建物の固定資産として評価する際に、税法の法律によって耐用年数を法定耐用年数として決めているだけと言えます。
建築物の耐用年数の考え方は何を基準にしている?
建築においては様々な構造の建物がありますので、種類によって耐用年数が異なってくるのが特徴的です。
国によって決められた建物の耐用年数の考え方は、「防水」「床」「外装」「窓」「構造体」の5つの要素から耐用年数を平均して考えています。
建物は雨にさらされますので防水性があるかどうか、そして外装や窓の耐久性、内部の床、構造体としての丈夫さなどを考えた上で、耐用年数が決められています。
建築の構造ごとの耐用年数
実際に法定耐用年数は、構造別に次のように決められていますので参考にしてください。
軽量鉄骨造:19年
木造:22年
重量鉄骨造:34年
鉄筋コンクリート造:47年
そして、実際に居住した場合には、この耐用年数よりもさらに長く見積もることができるのが一般的です。
法定耐用年数×1.5で算出するように考えられています。
また、この法定耐用年数によると、鉄筋コンクリート造は木造の2倍以上の耐用年数がありますが、その理由についても次に見ていきますので参考にしてください。
鉄筋コンクリート造の耐用年数が長い理由とは
鉄筋コンクリート造の一般住宅やマンションなどは、耐用年数が長いと言われていますが、その理由についてご紹介します。
鉄筋コンクリート造では、構造体としての強度が耐用年数に大きな影響を与えています。鉄筋コンクリートの柱の強度がとても高いのが特徴です。
鉄筋コンクリート造では、コンクリートの中に鉄筋を入れて柱にしているため、引っ張りに強い鉄筋と圧縮に強いコンクリートのメリットを合わせています。
そのため、ひっぱりにも圧縮にも強い構造となっているため耐用年数も長くなっています。
また、耐震性、耐火性の意味でも強度が高い構造体となっている鉄筋コンクリート造です。
鉄筋コンクリート造の寿命とは
しかし、この強い鉄筋コンクリート造にも建物としての寿命があります。
鉄はさびやすい弱点があり、コンクリートで鉄筋は覆われていますが、年とともにコンクリートが中性化していき中の鉄筋コンクリートが錆びます。
中の鉄筋が錆びると膨張し、コンクリートにひび割れがおきる現象が起き、劣化してしまうでしょう。
鉄筋コンクリート造においても、ひび割れなどを見過ごさないメンテナンスがとても重要と言えます。
建築物の耐用年数はメンテナンスをして伸ばすことが可能
建築物の耐用年数については、軽量鉄骨造や木造が短く、鉄筋コンクリート造が長い結果となっていますが、それもきちんとしたメンテナンスをすれば長く伸ばすことが可能です。
特に最近では、建築資材・部材の性能が高くなっていますので、より建築物の寿命は伸びているでしょう。
しかし、逆にメンテナンスを怠った場合、耐用年数の前に使用できなくなる可能性もあります。
また、環境によっても建築物の耐用年数は変わるため注意が必要です。海の近くの家は錆びやすい環境にあり、雨の多い地域、よく浸水する地域などは水の被害を多く受けるでしょう。
日光が良く当たる家の外壁は劣化が激しいことがあります。
地盤によっては建物が傾いたり、地震で崩壊したりすることも注意が必要です。
建築物の耐用年数は構造だけで決まるのではなく、その建物の環境によっても大きく変わることを知っておく必要があります。
そして、そのためにもメンテナンスを大事にしていくことが重要です。
具体的に見た建築部材の耐用年数はどのくらい?
ここで、メンテナンスをしっかり行うために、建物の建築部材の耐用年数がどのくらいあるのかについてご紹介します。
各建築部材の耐用年数
木造住宅でも鉄筋コンクリート造の住宅でも、各建築部材の耐用年数は同程度になりますので、参考にしてください。
まず、屋根の部材は約20年程度~約40年程度の耐用年数です。陶器瓦の場合には約25年程度~約50年程度と耐用年数が長くなります。
外壁の場合も様々な種類の部材がありますが、約20年程度~約40年程度の耐用年数です。しかし、外壁は塗料の耐用年数があるため、塗料次第で早く塗り替えのメンテナンスをする必要があるでしょう。
そして、床、壁、天井は約30年程度の耐用年数があり、建物内部の建具は木造でも約40年程度持つと言われています。
屋根や外壁のメンテナンスは耐用年数を伸ばすためにも重要
こうして各建築部材の耐用年数を見てみますと、屋根や外壁は最短の場合約20年程度~約25年程度で耐用年数が来てしまいます。
建物の外部の部材になるほど、雨風や日光に長年さらされ耐用年数が短くなる傾向です。また、それぞれの環境による影響も受けやすい箇所と言えます。
そのため、建築物の耐用年数を伸ばすには、個々の家の屋根や外壁の状況を確認することが大切です。
そして、それぞれの状況に応じたメンテナンスをしていく必要があります。
そうすることによって耐用年数を伸ばすのがおすすめです。
建築物の耐用年数は構造の違いが大きいがメンテナンスも大事!
建築物の耐用年数について詳しく見てきました。耐用年数は法定耐用年数で決められていますが、実際にはそれより長く住めるのが一般的です。
また、構造の種類の違いによって、耐用年数は異なってきます。鉄筋コンクリート造は構造としては強度が高く、47年の法定耐用年数よりもさらに長く住むことができます。
しかし、これらはメンテナンスを大事にしていかなければ、耐用年数を長く保つこことはできません。
状況を確認しながら、それぞれの家の状況に合わせたメンテナンスをして、建築物の耐用年数を伸ばしてみませんか。
法定耐用年数を頭に入れながら、メンテナンスをきちんとしていくことが大切です。