建築物の防火区画とは何?建築基準法で定められている規定をご紹介
建築の防火区画というのを知っていますか。
大きな建物が火事にあった場合に急速に燃え広がり、周囲への影響も大きくなります。
そのため、建築基準法によって準耐火や耐火構造の壁や床で区画をすることが定められています。
詳しくご紹介しますので知ってみませんか。
建築物の防火区画とは
建築基準法に定められた防火区画とは、火災が早急に広範囲で燃え広がることを避けるために
準耐火や耐火構造の壁や床で区画することを定めたものです。
また、防火壁と似ていますが、防火壁は耐火構造の自立した壁であることが必要です。
この防火壁だけは燃えずに残るというのが防火壁です。
大きな建築物の場合には、建物自体が準耐火、耐火建築物として作られるため
防火壁とは意味合いや役割が変わって、火災を広げないためのものが防火区画と言えます。
建築物の防火区画の性能とは
建築の防火区画の性能ですが、大きな建築物が火災にあうと下から火が燃え上がり
上へと炙られるような状態になります。
避難する場合も避難経路が不足しがちで混乱するでしょう。
そのため、防火区画を設け、30分程度や1時間程度ならば火災に耐えられるような
準耐火や耐火構造の壁や床の区画を作ることを定めています。
そして、こうした防火区画の建築の技術基準の詳しい内容は建築基準法施工令に記載されています。
また、防火区画は、準耐火、耐火構造であるだけでなく
開口部や配管の貫通部分にも火災が広がることを防ぐようになっています。
空調用のダフトに「ファイアダンパ」といった火災防止装置を備え
扉や窓は特定防火設備にしなければならなくなっています。
建築物の防火区画の種類とは?防火区画の4種類をご紹介
ここで、そんな建築の防火区画の4種類を詳しくご紹介します。
「面積区画」
「水平区画」
「竪穴区画」
「異種用途区画」といった防火区画がありますので、それぞれの特徴を知っておくといいでしょう。
面積区画とは
面積区画とは、建築物の構造や用途によって異なりますが
一定の面積ごとに作るべき防火区画の種類のことを言います。
高層建築物の場合の面積区画は、100~1,000平方メートルを耐火構造にする必要があり
中層建築物の場合は500~3,000平方メートルの区画を作る必要があります。
高層建築物の場合よりも、横に広い中層建築物の面積区画の方が、大きな防火区画を作る必要があると言えます。
水平区画とは
水平区画とは、水平面を区画にして、全ての床を耐火構造にするものです。
そうすることで、下階で発生した火災の影響を防ぐ防火区画となります。
通常大きな建築物では床は耐火構造なため、ほとんどの場合に水平区画の防火区画はあると言えるでしょう。
竪穴区画とは
竪穴区画とは、階段や吹き抜け、エレベータのシャフト、パイプシャフトのように
縦方向に抜けている部分の防火区画のことを指します。
火災の際は縦方向に火が行くために特に注意が必要で、避難経路が断たれてしまいます。
そこで、3階以上の竪穴は防火区画で囲み、他から火が入ってこない防火区画で守るように定められています。
ただし、1967年より前の建築物では建築基準法の定めがなかったためにない場合がありますので、注意してください。
異種用途区画とは
異種用途区画とは、例えば同じ建物の中に様々な用途が混在した建物、複数テナントのビルなどの場合には
それぞれの管理形態が違うでしょう。
そのため、それぞれが火災に気づきにくくなりますので、用途の異なる部分を区画で区切る
異種用途区画で被害を少なくするようになっています。
こうした、「面積区画」「水平区画」「竪穴区画」「異種用途区画」といった
様々な防火区画が建築基準法によって定められていますので、それぞれに必要な防火区画を知っておくといいでしょう。
建築検査による防火区画のチェックとは
防火設備、防火区画については
2016年から建築物定期調査、防火設備定期検査、昇降機定期検査、建築設備定期検査が行われるようになっています。
消防法に基づく、よく聞かれる「消防用設備等点検」とは異なり
建築基準法の定めに基づく特定建築物調査の調査項目に「防火設備検査」を特化した内容の検査です。
防火区画などの建築基準法に基づいた確認検査が必要で
定期的に検査し、報告書も特定建築物調査様式に類似したものを出す必要があります。
建築物調査と同じように提出も必要です。
大きな建物の火災事故による被害を防ぐために
大切な防火区画のチェックが専門的に行われるようになっていると言えます。
消防用設備等点検との違い
ここで、あらためて「消防用設備等点検」との違いについてご紹介します。
「消防用設備等点検」とは違って、防火区画のチェックを行う際には防火区画の建築基準法上の知識が必要です。
建築図面から見てチェックしていく必要があると言えます。
面積区画、水平区画、竪穴区画、異種用途区画の防火区画の確保をしてあるかどうかを
設計図書を見て確認する必要があるでしょう。
防火扉、防火シャッター、耐火クロススクリーン
軒先や開口部などから水を出すドレンチャーの作動状態などの建物設備をチェックして検査します。
そして、そうした防火区画の調査をするのは
特定建築物調査が行える一級建築士、二級建築士、そして指定された講習を受講修了した防火設備検査員となっています。
建物の構造を知り尽くし、防火について考えることができる専門家が行う、建物構造上の専門的な検査と言えます。
建築物の防火区画の知識を持ち定期検査の必要性を知っておきたい
大きな建築物で重要な防火区画についてご紹介しました。防火区画について
どのような防火区画が必要なのか、種類を知っておくことが大切です。
そして、建築物においては、その防火区画の確認、定期検査を行っていくことで、火災に備えることが必要です。
大きな火災事故に繋がらないように、防火区画の確認の必要性を重要視していくことが大切と言えます。
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